東京ルールって何?

投稿者: | 2017年6月10日

敷金精算トラブルを防ぐための東京ルール

入居者が退去するとき、アパートやマンションの貸主と借主の間には、金銭的にトラブルが生じやすいです。
入居者、すなわち借り主は入居時に敷金や礼金を支払っており、退去の際にはその敷金の返還によって金銭トラブルになることも少なくありません。

東京ルールとは、増え続ける敷金の精算に関するトラブルについて、その紛争をできるだけ少なくしようと定められた条例であり、全国の不動産会社もそれに準じる見方をしているところも増えてきています。
東京ルールとは正式名称を「賃貸住宅紛争防止条例」といいます。敷金のトラブルで多いのは原状回復です。
入居時に「退去する際には建物や設備などを原状回復しなければならない」と定められていますが、その「原状回復」の解釈が不動産屋や大家によって大きな違いがあるため、借り主と貸主の間に齟齬が生じてしまいます。
東京ルールにおいては原則、借り主の故意や過失、間違った使用法などで生じたものを借り主、すなわち入居者の負担に定めています。

一方で経年劣化などにより通常の使い方をしていても、時の経過によって発生した劣化に対する回復費用を、貸主、すなわち大家さんの負担としています。後者を敷金によって精算することになります。
そのため、設備や施設の一般的な使い方をすれば、入居時間が長ければ長いほど、貸主の負担割合が大きくなってきます。なぜなら設備は自然消耗と言って、経年劣化や通常摩耗によって原状回復への費用は発生するものの、入居者に責任はないからです。

退去時の敷金精算は確認しておこう

この「東京ルール」に関しては、不動産会社が借主に書面を交付して退去時の原状回復や入居中の修繕について説明を義務付けた、というのも一つの評価すべき点です。
どのくらいの費用、どこまでの範囲で退去時に支払うかを明確にすることによって、借主と貸主の紛争が未然に防げるからです。
ごくまれに、退去時の原状回復についてすべての費用を入居者の負担にするといった特約もありますが、通常の原状回復の義務を超えた特約は無効であるという判例もあります。
ですので、家を借りるほうは退去時の原状回復がどの程度必要かということについて確認することが必要です。そして同時に家を貸すほうは、仲介してくれる資格を持っている不動産業者に、入居者にしっかりとこの原則を説明して理解をしてもらうことが必要になります。
このようなことに留意することで、退去時の敷金精算に関する揉め事を事前に防止することができます。